「経年変化をどう楽しむか?」は革製品の面白さのひとつ。革も肌も、ケアするからこそ、エイジングを楽しめる

やりたいことにどんどん出合い、次々と実現させている方々は、どのように日常と向き合っているのだろうか。毎日使うスキンケアが健やかな肌を導くように、どんな一瞬、一瞬を積み重ねて、現在に至るのかを伺うインタビュー企画。

4人目は、自らクリエイティブディレクターを務める、イタリア製革小物ブランド「FATTORIA del CUOIO」を展開する株式会社 ComaCo・officina (コマコ・オフィチーナ)代表・駒井 彰氏。

――「GUCCI」や「ARMANI」などのOEM生産を手がけるファクトリーと手を組み、ベルトを中心とする革小物のブランドを立ち上げたのが駒井さんの起業家としてのスタートですが、そこに至るまでの経緯は?

もともと古着や革製品が好きで、90年代、古着といえばアメカジが人気でしたが、僕はヨーロッパのものが好きでしたね。でも当時はまだ、ヨーロッパの古着を仕入れているお店が少なかったので、イタリアへ渡って、ミラノのヴィンテージショップで企画の仕事に就いてました。そこで現地の職人がつくったベルトを見せてもらう機会があって、それが面白いベルトだったんで、「これの専業でやってみたいな」と思いましたね。当時ちょうど5年間住んだミラノから、国内に帰ろうと思っていた時期でもあったんです。

ベルトはやっぱり脇役だけど、主役にもなれる面白さがある

ベルトってそれまでは興味なかったんですけど、それを手にしてみて感動して。その1本は、「メダリヨン」っていう、ウィングチップシューズのつま先なんかによく施される、革をパンチングして模様をつくる加工が施されていました。生地もパッチワークで構成されていたり、クラシックな装飾のものでした。ベルトはやっぱり脇役なのですが、それが主役になれるときを狙える、脇役も主役にできるっていう、面白さがあります。そういう希有なアイテムであるというところに興味を持ったんで、それに特化していこうかなと。

――「KINGU」は成分構成や機能の「バランス」を重視して誕生しました。事業を展開するうえで気をつけている「バランス」は?

日本のマーケットに合わせたブランドにするために、企画をする僕と、技術をもつ職人が話し合いながら、勉強やリサーチをしていくなかで、辿り着くポイントは「ベルトは平面である」っていうことですよね。これを立体的に見せるにはどうしたらいいのかなって。立体的に見せるには、部品の組み立てであったり、スタイリングの仕方であったり、細かいたし算・ひき算を要します。ちょっとわざと長くしてみたり、短くしてみたり、細くしてみようかな? とか。バックルで遊んでみようかな? とか。バックルで遊びすぎて、帯まで遊んでしまうとちょっとダサくなってしまったり…。その辺りの色気の出し方は、僕自身のオリジナルの「バランス」を大切にしたいですね。ガチャベルトを作ろうとは思っていないので。

――「KINGU」は、上質なスキンケアツールを毎日使い、肌をじっくり育む「贅沢な時間」を提案しています。駒井さんの「贅沢な時間」とは?

振り返ってみると、結局のところ僕のベースは、ミラノのヴィンテージ会社で培った経験がすべてですね。当時、会社が大量のヴィンテージ古着を仕入れていて、仕入れ先のオランダから、100キロ以上もある大きなずた袋が届くんですよ。たとえば「リーバイス501」だけの袋とか、「ストローハット」だけの袋とか。カテゴリー毎に分けられて、いくつも届くんです。何万ピースにもおよぶアイテムすべてに、毎日毎日、ひたすら目を通して、セレクションするのが僕らの仕事でした。古着の山を一つ一つ見ていくと、本物のヴィンテージのダブルエックスが出てきたりして。そういう最高なものを見つけては、イタリアのショップでラグジュアリーな値をつけて売っていました。その頃に多種多様なものに触れたことで、鍛えられたかなと。当時はまだ、携帯や写メがなかったので、気に入ったものをインスタントカメラで片っ端から撮影していって、スクラップブックにまとめてました。そのときに重ねた時間は、間違いなく財産ですね。

――「KINGU」はエイジングのために処方された本格スキンケアですが、 お使いいただき、どのような感想をもたれましたか?

今回クレンジング剤を初めて試したのですが、洗い上がりがしっとりするだけでなく、それが長時間つづくことに驚きました。革製品の手入れも、まずは油分たっぷりのクリームで汚れを落としてから、保湿用のクリームを塗り込むので、工程が全く同じですよね。僕はベルトなどの革製品も、使うたびに大切にしまって、こまめに手入れもしますね。そういう時間が好きなので。「経年変化をどう楽しむか?」は、革製品の面白さのひとつです。ケアするからこそ、経年変化を楽しめるのは、革も肌も同じではないでしょうか。

駒井 彰

「株式会社 ComaCo・officina (コマコ・オフィチーナ)」代表。

イタリア中部に位置するトスカーナ州にて、有名メゾンブランドのOEM生産を請け負う工場と共同で立ち上げたファクトリーブランド「FATTORIA del CUOIO」や、オリジナルブランド「ComaCo」を展開。
熟練の職人の手作業によるぬくもりと機能性、駒井氏によるオリジナリティあふれるデザインが、唯一無二のアイテムとして存在感を放ち、国内外で高い人気を博している。

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